9/14昼
福岡県八女市。「この店のためだけに足を運ぶ価値がある」と噂されるレストランがあります。その名は ノノカレストラン。今回、ようやく訪れることができました。
「わざわざ行く価値がある」という言葉には半信半疑で向かったのですが、料理が運ばれてきた瞬間、その疑念は吹き飛びました。まるでドラマ『グランメゾン東京』のワンシーンから飛び出してきたような、芸術性にあふれた皿の数々。思わず「キムタクが作ってそう!」と声を漏らしてしまいそうになるほどの完成度でした。
見た目も味わいも感動の連続
この日のコースは全部で16皿。食材の組み合わせ、盛り付けの華やかさ、火入れや味の重ね方まで、すべてに驚きと発見がありました。
- カリフラワー
最初の一口はモナカ仕立て。中にはカリフラワーとベーコンのブランマンジェ、上には米粉で作った可憐な花。軽やかで、スタートにふさわしい遊び心に満ちた一皿。 - ずわい蟹
ベニーユ仕立てで、蟹の甘みと旨味を凝縮。口の中でほどけるように広がる繊細な味わい。 - メロンと生ハム
上にはメロンのかき氷、仕上げに八女の抹茶。爽やかな甘みと塩気、そこにお茶の苦みが加わり、夏らしい清涼感。 - 茄子とバジル
冷製カッペリーニにジェノベーゼソースを合わせ、揚げ茄子とパルメザンを添えた爽快なパスタ。 - ハタとシャインマスカット
ハタのマリネに梨とピスタチオ、シャインマスカット。魚の旨味にフルーツの甘酸っぱさが加わり、複雑ながら心地よいバランス。 - 魚介とマッシュルーム
洋風茶碗蒸しのような一品。海老やイカの旨味とマッシュルームの香りが重層的に広がり、和と洋の境界を飛び越えた仕立て。 - とうもろこしとリコッタチーズ
鶏胸肉と自家製リコッタチーズに、炭火焼きしたスイートコーン。上にはとうもろこし入りのメレンゲ。香ばしさと甘さの余韻が続きました。 - 鰻とじゃがいも
鰻とジャガイモの組み合わせに、野菜のピクルスとマイクロセロリのサラダを添えた斬新な構成。ここから料理は「後半戦」へ。 - 日向鶏と黒豚
鶏と豚のつくねをワインソースで塗り焼きにした一皿。香ばしさと肉の旨味が重なり、焼き鳥を思わせながらも洗練された仕上がり。 - 甘鯛とかぼちゃ
甘鯛のムニエルをかぼちゃのピュレとともに。上にはごぼうのフリット、彩りにニラの花。香ばしさと甘みが交わる一品。 - 和牛と舞茸
イチボを1時間かけてじっくり火入れ。舞茸のフリットと、かぼちゃ細工の葉を添えて。ルーローハンをイメージした味付けで、遊び心と重厚感を兼ね備えたメインディッシュ。 - 薔薇とラズベリー
デザートは華やかに。ラズベリーのタルトに薔薇のアイス、シート、メレンゲを重ねた甘美な一皿。 - みかんとヨーグルト
カルダモンで香りづけしたみかんのコンポート。メレンゲの中にヨーグルトを忍ばせ、爽やかな酸味で口直しにぴったり。 - お茶菓子
抹茶のパウンドケーキ、濃厚なチョコのテリーヌでコースを締めくくり。
ドリンクの妙
自家製ジンジャーエールや桃のジュースは、料理の流れに自然に寄り添い、最後はスペシャルコーヒーで余韻を整えました。ワインだけでなくノンアルコールも楽しめるのがこのお店の魅力です。
終盤に感じた正直な感想
全体を通じて驚きと感動の連続でしたが、正直に言えば後半はややお腹がいっぱいに。鰻以降は食材や味付けが多層的になりすぎて、メインの食材をもう少しシンプルに味わいたい気持ちもありました。ただ、それは贅沢な悩み。火入れの丁寧さや食材の組み合わせは圧倒的で、「ここ数年で一番」と言える満足度をもたらしてくれました。
お会計と満足感
お会計は19,900円。これだけの品数とクオリティを考えれば、むしろリーズナブルに感じられる価格です。美味しいだけでなく「体験」として強烈な印象を残すお店。人に紹介したくなる理由がはっきりと分かりました。
まとめ
ノノカレストランは、芸術的な盛り付けと驚きの組み合わせで楽しませてくれる、八女の隠れた名店。前半は華やかさと複雑さが絶妙に調和し、後半はやや重さを感じつつも、全体として圧倒的に満足度の高い食体験でした。
ここ数年で出会った中でもトップクラス。「わざわざ八女まで行く価値がある」と胸を張って言えるお店です。
点数 4.7点
点数の意味
5—人生最後の日はこのお店❗️
4—人に勧めても間違いない
3—何度も通いたくなるお店
2—人にお勧めする時には選択肢に上がらないけど普通に美味しいよ
1—あんまり…かな
0—もう行かない



















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