肌寒くなってきたのですっぽんを堪能するために大分の安心院まで週末を利用してグルメ旅してきました。
前半:すっぽんの全身をいただくという体験
大分・安心院(あじむ)。すっぽんで有名な盆地に、創業大正9年の老舗「やまさ旅館」はあります。今回は、ここの名物「すっぽん料理」を心ゆくまで味わえるフルコース「美味求真」をいただきに訪れました。
お風呂で体を温め、浴衣姿で畳の間に座ると、最初に登場したのは「生き血のオレンジジュース割り」。どこか儀式めいた一杯です。血の鉄分をほのかに感じつつも、柑橘の酸味がそれをやわらかく包み、すっぽんの生命力をやさしく受け取るような味わいでした。

続く前菜は、「精巣、肝臓、心臓の酢和え」。ここじゃないとなかなか味わえない一品。酢の香りがふわりと立ち、心臓はコリッと、精巣はとろりと。どれも食感と旨味の対比が見事で、思わず笑みが溢れる。さらに「エンペラの湯引き」は繊細な味わいでぷるんとした食感と、すっぽん特有のコラーゲン感が印象的でした。



「すっぽんのスープ」は、まさに滋養の極み。澄んだ黄金色のスープをひと口すすると、体の内側から熱が広がるよう。すっぽんの旨味が凝縮されています。続いての「刺身 首と胸」は、淡白ながら深みのある味わいで、鶏肉と魚の中間のような不思議な食感。ここでも素材の鮮度が際立っていました。


「茶碗蒸し エンペラの餡」は、舌にのせた瞬間にとろけて、優しい甘味と出汁の旨味がふわっと広がります。中盤の「肝焼き」は香ばしく、焼かれたことで酢和えとはまた違う一面が。旨みの塊をかぶりつく快感が忘れられない。せっかくだから頼んだ安心院ワインにぴったりでした。


そして「からあげ」と「炭火焼き」は、いわば力強い肉の章。特に炭火焼きは、宮崎地鶏の炭火焼きを思わせる香りと噛み応えで、これほどの野性味を上品に感じるのはすっぽんならでは。濃い味付けなのにそれに負けないすっぽんの”味”に驚かされました。


すっぽん料理と言ったらやっぱり「水炊き」と「雑炊」!特にすっぽんの雑炊はまさに締めの芸術。コラーゲンが溶け出したスープを卵でとじた雑炊は、体の芯まで染みわたる美味しさ。すっぽんの旨味が一滴残らず活かされ、思わず「これを食べに来たんだ」と実感しました。





飲み物は地元・安心院ワインをボトルで。やわらかい酸が料理を引き立ててくれます。さらに「甲羅酒」。焼いた甲羅の香ばしさと酒の甘みが一体となり、思わず継ぎ酒してしまいました。お風呂上がりでお酒の回りがよく、気分よくほろ酔いになり、心も体もとろけるような夜でした。






点数 4.3点
点数の意味
5—人生最後の日はこのお店❗️
4—人に勧めても間違いない
3—何度も通いたくなるお店
2—人にお勧めする時には選択肢に上がらないけど普通に美味しいよ
1—あんまり…かな
0—もう行かない
後半:すっぽん料理と血液データの観察
今回は食事の当日と翌々日に採血を行いました。結果は以下の通りです。

- 尿酸値(UA):8.4 → 8.0 mg/dL
- 中性脂肪(TG):205 → 199 mg/dL
意外にも、どちらの値もわずかに低下していました。すっぽんといえば「プリン体が多そう」という印象を持たれがちですが、実際のプリン体含有量は100gあたりおおよそ130〜150mg程度。これは鶏レバー(約300mg)よりかなり低く、むしろ白身魚に近い値です。今回のコースで摂取量は多かったものの、全体のバランスとしてはプリン体過多とはいえない範囲でした。
また、すっぽんの脂質は中性脂肪よりもリン脂質が多く、血中脂質に直接的な悪影響を与えにくい構成です。そのためか、TG値の変動もほとんど認めませんでした。
一方で、すっぽんのコラーゲンやアミノ酸(特にアルギニンやグリシン)は血管拡張や代謝促進に関与することが知られています。実際、翌朝の体感としても代謝が軽やかで、体が「整った」ような感覚がありました。
数値的には劇的な変化はありませんが、「高たんぱく・低脂質・中程度のプリン体」というすっぽんの特性が、血液データ上でも穏やかに反映された結果といえそうです。
食後の満足感と、翌朝の軽さ。このギャップこそ、すっぽん料理の妙味かもしれません。